食料事情と平均身長の伸びの関係

欧米諸国と比べると、日本人の身長は低いというのは皆さんご存知だと思います。
実際、アメリカなどに行かれた事のある方なら、その差は肌で感じられたと思います。
しかし、そんな平均身長の低い日本人ですが、この65年で平均身長は高くなってきています。
考えられる要因として、食糧事情の改善が大きく関係しています。1950年の国民健康・栄養調査によると30歳時での男女別平均身長は

男子160.3センチ
女子148.9センチ
となっています。
ちなみに、戦前の男子の平均身長は一時期165センチまで伸びており、戦争末期から戦後にかけて、食糧事情が悪化していたことが身長低下の原因と考えられています。
その平均身長が再び上昇していくのが、1970年代に入ってからで、ちょうど高度経済成長時に日本人の食生活が再び改善し出したころとなっており、やはり身長を伸ばすためには、食生活が大事だということがわかりますね。

現在の年代別平均身長の推移

ここで現在の年代別平均身長の推移を見てみましょう。

年代別平均身長 男性【2015年春】
学年(歳) 小1(6) 小2(7) 小3(8) 小4(9) 小5(10) 小6(11)
身長(cm) 116.5 122.5 128.1 133.5 139.9 145.2
学年(歳) 中1(12) 中2(13) 中3(14) 高1(15) 高2(16) 高3(17)
身長(cm) 152.6 159.8 165.1 168.3 169.8 170.7
年齢 18歳 19歳 20~24歳 30~34歳 40~44歳 50~54歳 60~64歳
身長(cm) 171.01 171.75 171.49 171.92 171.73 170.51 167.77
年代別平均身長 女性【2015年春】
学年(歳) 小1(6) 小2(7) 小3(8) 小4(9) 小5(10) 小6(11)
身長(cm) 115.5 121.5 127.3 133.4 140.1 146.7
学年(歳) 中1(12) 中2(13) 中3(14) 高1(15) 高2(16) 高3(17)
身長(cm) 151.8 154.9 156.5 157.1 157.6 157.9
年齢 18歳 19歳 20~24歳 30~34歳 40~44歳 50~54歳 60~64歳
身長(cm) 157.92 158.24 158.50 158.94 158.91 157.54 154.81

※調査結果は文部科学省の学校保健統計調査・運動能力調査より

男子の平均身長で、実に11.62センチも高くなっています。
女子に関しても10.04センチ高くなっており、身長が高くなるというのは遺伝的要因だけでなく、食生活の改善で大きく変化することがわかりますよね。

日本人の平均身長の伸びは2005年がピーク!?

戦後から順調に伸びてきた日本人の平均身長ですが、国民健康・栄養調査の調べで、2005年をピークに男子で低下傾向、女子も横ばいというデータが出ています。
食糧事情は年々向上しているのに身長が伸びないというのは、日本人の限界と思われる方もいらっしゃるかとは思いますが、はっきりとした原因があります。
身長が伸びるかどうかは、幼少期に摂取したカロリーが大きなウェイトを占めています。
国民健康・栄養調査の調べによると、1970年台後半をピークに、それ以降減少傾向に転じているということがわかっています。
上の表を見て頂くとわかる通り、栄養状態が向上しているにも関わらず、30~34歳の平均身長よりも20~24歳の平均身長の方が低いという結果が出ています。
そして平均身長の伸びが止まってしまった理由にはもう一つ考えられていることがあります。
それは「運動」です。
1980年以前の子供たちは、外で遊ぶことが多く、知らず知らずのうちに「運動」をしていました。
ところが、1980年以降の子供たちの生活環境は外で遊ぶことよりも、家の中で遊ぶ機会が増えており、慢性的な運動不足になってしまっていることが原因と考えられています。
確かに今は外で遊ぶことが難しい時代になっています。
放課後の学校の校庭などは、出入り禁止にしているところが多く、公園での遊びも様々な規制があり、子供たちが自由に遊べる環境が減ってきています。
昔の子供たちは、空き地や公園などでカン蹴りや鬼ごっこなどをして「運動」していましたが、今や子どもたちは公園に集まってゲームをして遊んでいる光景を良く目にします。
身長を伸ばすということは、ごはんをしっかり食べるだけではなく、毎日体を動かすということが大切です。
今後の日本人の平均身長が高くなるかどうかは、そこがポイントになってくるんではないでしょうか。