身長が伸びる2つの要因とは
身長が大きくなるには、大きく分けて二つの要因があります。
それは「先天的要因」と「後天的要因」です。
先天的要因とはわかりやすく言うと「遺伝」です。
遺伝とは人間の生殖により親の持つ遺伝子を子供の遺伝子へ形質を伝える現象です。
しかし、遺伝は全ての要素を受け継ぐわけではありません。
中には自分の身長が低いから子供の身長も伸びないと諦めている親御さんもいると思います。
確かに親の身長が高いと、子供の身長が高くなる確率はあるという事はあるかもしれませんが、絶対という事はありません。
最近の研究では、身長の伸びに関する遺伝の影響は2割程度という事もわかってきています。
という事は、身長を伸ばす為の要因の8割近くは後天的要因が大きく関わっていることがわかりますね。
ここでは身長アップに関係してくる、先天的要因と後天的要因を詳しく解説していきます。
身長と遺伝のわかりやすい方程式
いくら身長アップの後天的要因が大きいとはいえ、遺伝の影響を強く受けた場合、下記の方程式で子供の身長を予測することができます。
男の子=父親の身長+(母親の身長+13)÷2±2
女の子=父親の身長+(母親の身長-13)÷2±2
例えば父親の身長が172センチ、母親の身長が158センチの場合、男の子は169.5センチ~173.5センチ。女の子は、156.5センチ~160.5センチという事になります。
もちろん、この方程式が100%正しいわけではありませんが、気になる方は参考までに計算してみて下さい。
身長が伸びない場合は低身長症の可能性かも
成長期になっても身長の伸びが悪い場合、突発性低身長症の可能性があります。
子供の成長に影響を与える原因として、両親の身長、子供の体質、栄養状態、生活環境、思春期を迎える時期、成長に関わるホルモンの状態などがあります。
低身長症は病気ではありませんが、まれに内臓系の疾患が原因の場合があるので、心配される場合は医師に相談することをおすすめします。
突発性低身長症
身体的な異常が見られず、原因の特定ができない場合、突発性低身長症の疑いがあります。
生活環境やストレスなどが主な原因とされ、普段の食生活を含む生活環境を見直すことが重要になります。
また、突発性低身長症の中には、以下のようなものがあります。
「家族性低身長」
主に、遺伝的要因が原因の場合が家族性低身長と呼ばれます。両親のどちらかの身長が低い場合の良く見られます。
「体質性低身長」
別名、思春期遅発症とも言われ、成長スピードが遅いなど、その子供の体質的な要因が考えられます。よく「おくて」などの言われ方をしている場合が多く、そのうち大きくなると考えがちになる場合が多く、見逃しがちになる事が非常に多いと言われています。
「原発性低身長」
両親の身長は異常がない場合、原発性低身長の可能性があります。
生活環境やストレスなどが原因と考えられているため、普段の生活環境を見直すなどの工夫が大切とされています。
低身長症の子供の多くは、幼少期に十分な栄養が摂取出来ていなかったことが原因と考えられています。
好き嫌いが多く、偏食がちになっていた場合、成長期を迎えて食事量が増えても、平均身長まで伸びないことが多いとされています。
子供は3歳までに、たんぱく質などの栄養を摂ることが大切とされているため、小さいお子さんをお持ちの親御さんは、料理を工夫するなどして、しっかり栄養を摂らせることが最善の方法と言われています。
子供が低身長の場合、どうしたらいい?
子供が低身長症の場合、解決方法は2つあります。
1つめは、生活環境の見直しです。身長を伸ばす為には、栄養、睡眠、適度な運動が必要です。
食事の内容が偏っていないか、睡眠環境は充実しているか、運動はしているかなど、基本的な事はもちろんですが、過度のストレスがかかる生活をしている場合も低身長の原因と言われています。
勉強や人間関係、家庭内でのストレスなどを見直してみましょう。
2つめの解決方法は、医師によって低身長症と診断された場合、成長ホルモンを投与するという方法があります。
現在、日本では15歳未満の場合、全額保険で賄うことができます。
その場合の条件として、医療機関で身長を測定し、医学上低身長に当てはまるかどうかを確認します。
その際、血液検査や尿検査、骨の年齢を評価して、精密検査が必要かどうかを調べます。
骨の年齢とは骨の成熟度を評価し、骨の年齢が何歳相当であるかを表したものです。
骨の年齢は手と手首のレントゲン写真を用いて、その形から、骨の成熟度が何歳相当かを評価します。
成長ホルモン分泌不全性低身長症では、実際の年齢より骨の成熟がゆっくりになることがあり、骨の年齢から今後、どのくらい身長が伸びるかを予測することができます。
このときの診断で、さらに検査が必要になる場合があります。
その場合、成長ホルモン分泌刺激検査という精密検査やMRI、CTなどによる画像検査、染色体検査などを行います。成長ホルモン分泌刺激検査の場合はいくつかの薬を投与して行うため、子供によっては副作用に苦しむ場合もあるので、検査前には医師からしっかりとした説明を受けておく必要があります。
また、成長ホルモン治療を開始する場合、年齢が早ければ早いほど効果は出やすくなってきます。
治療方法は1日1回、ヒト成長ホルモンを注射します。
口から摂る薬の場合、胃や腸で分解されてしまい、効果が出ないため注射による治療が必要です。
注射といっても毎日通院する必要はなく、自宅で簡単にできるため、継続しやすくなっています。
小さい子どもの場合でも、学校生活や日常生活に特別な制限はありません。
スポーツなどもいつもと変わらず行う事ができるため、安心して治療に専念できます。
ただし、この治療にはデメリットが2つあります。
特にスポーツなどをがんばっている子供の場合、将来、国際大会などに出た場合はドーピング検査に引っかかってしまいます。
岐阜県羽島郡岐南町で長年、低身長症の治療をしている、医学博士の北田医師は「身長が低いコンプレックスを抱えている親御さんは非常に多くいます。もちろん治療をすれば大きな効果は得られます。しかし、デメリットがあるという事をしっかりと理解しておいてほしいですね。」と言っており、治療を行う前には両親としっかり将来の事も話していらっしゃいます。
成長ホルモンは、国際的には禁止薬物に指定されているため、治療を受ける場合は、北田医師の言う通り、将来の事もしっかり考えてから行いましょう。
そして、もう一つのデメリットは、末端肥大症を発症しやすくなるという報告があります。
末端肥大症とは、手や足、あごや額などが大きくなってしまう症状です。
身長2メートルくらいの人の足や手、あごなどが大きい人をテレビなどで見たことがある人もいるのではないでしょうか。
末端肥大症の人は、通常の人よりも成長ホルモンの分泌が多い場合が多く、身長が高くなるだけではなく、あごが大きくなったり、額が突き出たりといった見た目に悩まされている人も多くいるため、治療を開始する前にはしっかり考えてから行いましょう。
身長を伸ばす為の遺伝以外の要因
身長を伸ばすための後天的要因として大切なのが、規則正しい生活習慣。
特に大切なことが、何度も言うように「栄養」「睡眠」「適度な運動」です。
そして最近ではストレスのかからない生活が重要視されています。子供の一番のストレスは家庭内不和。
つまり、お父さんとお母さんの仲が悪いことです。成長期には「栄養」「睡眠」「適度な運動」と同じくらい、親の愛情が不可欠です。
身長を伸ばすための食事で大切な事
身長を伸ばすために、欠かせないのがバランスのとれた食生活です。
1日3食摂る事はもちろん大切ですが、成長期の子供の場合、間食に何を食べるかなども重要になってきます。
スナック菓子やカップ麺などを間食に取り入れている家庭もあると思いますが、身長を伸ばすためにはあまりおすすめできません。おにぎりやバナナなど、身長を伸ばすためには効果的な間食を摂ることをおすすめします。
身長を伸ばすためには、成長ホルモンの分泌が欠かせません。
一般的に成長ホルモンは、睡眠時に多く分泌されます。
その成長ホルモンの分泌に大きく関わっているのが「栄養」です。
中でもアミノ酸は欠かせない栄養素です。成長ホルモンはアミノ酸で構成されています。
アミノ酸はたんぱく質が分解されることによって生成され、普段からたんぱく質を摂ることが、成長ホルモンの分泌には欠かせません。
乳製品や大豆製品、肉類、魚、卵など、良質なタンパク質を普段から多く摂ることが大切です。
また、たんぱく質以外にも成長期の子供が積極的に摂りたい栄養素として、カルシウム、マグネシウム、亜鉛などのミネラルがあります。
カルシウムは骨や歯を丈夫にし、マグネシウムはカルシウムの吸収を助け、骨を維持します。そして亜鉛は、直に骨の成長に関わっているので、小魚や海藻類などで積極的に摂取することが大切です。
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身長を伸ばすためには良質な睡眠が大切
身長を伸ばすには成長ホルモンの働きが欠かせません。
成長ホルモンは24時間分泌していますが、睡眠時に一番多く分泌されます。
昔から「寝る子は育つ」という言葉があるほど、身長を伸ばすには、睡眠がとても大きな役割をしています。
では、子供はどのくらいの睡眠時間を摂った方が良いのでしょうか。
一般的に、小学生までは1日10時間以上、高校生までは8時間以上が理想的な睡眠時間です。
最近では、夜遅くまで起きている子供も多く、30年前に比べると、平均睡眠時間が1時間以上短くなっています。
身長を伸ばそうと考えているならば、早寝、早起きの癖をつけるようにしましょう。
また、睡眠前に気を付けたい事が3つあります。
夜ご飯は、寝る2時間前までに済ませておきましょう。寝る前に食事を摂ると、消化するためにエネルギーを消費してしまい、熟睡できなくなってしまいます。
そして、お風呂は寝る30分前までに入ることが理想的です。あまり熱いお湯につかるのではなく、少しぬるめのお湯に20~30分浸かることで、より熟睡できます。
また、運動した後などは、お風呂上がりのストレッチもおすすめです。
筋肉がつかれていると、成長ホルモンが疲労回復に使われてしまう為、ストレッチで筋肉をほぐし、疲れを取ってから寝ることが大切です。
最後に、最近多くの子供も持っているスマホは、寝る前には使用しないことが大切です。
スマホに限らず、ゲーム機やテレビなどから出るブルーライトは脳を興奮状態にしてしまい、熟睡できなくなってしまいます。
できれば、寝る2時間前には使わない様、心掛けましょう。
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身長を伸ばすには適度な運動を!
成長期にしっかりと身長を伸ばすために、運動は非常に大切な要素です。
運動をすることによって、睡眠時の成長ホルモンの分泌を活発にする効果があると言われています。また、運動の効果はこれだけではありません。
運動することによって、食欲が旺盛になり、食が細い子供もたくさんご飯が食べられるようになります。
特に、サッカーなど、走ることが多いスポーツや、バレーボール、バスケットボールなど、ジャンプをたくさんするスポーツは、身長が高くなりやすいと言われています。
理由としては、ジャンプをしたり、走ったりすることによって、骨に程よい刺激与えることが、身長を伸ばすことに効果的と言われています。
普段から運動をしていない子供でも、かけっこや縄跳びなど、普段から外で遊ぶだけでも効果があるため、時間を見つけて外遊びなどを取り入れることも、身長を伸ばす為には大切な要素です。
ただし、運動と言っても、あまり激しい運動はむしろ逆効果になる場合があります。
小さいうちから、筋肉がつきすぎてしまうような運動は、身長を伸ばそうと考えているなら避けた方が良いでしょう。
筋肉は骨のまわりについています。身長が伸びるという事は、同時に骨が伸びるという事で、筋肉が多くついてしまうと、骨が伸びにくくなると言われています。
体操選手や重量挙げの選手が、比較的身長が低いのもこのためではないかと言われています。
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ストレスは身長アップの妨げに
身長を伸ばすために、大切なことがもう一つあります。それは、過度のストレスです。
現代社会では、大人も子供もなにかしらのストレスを抱えながら生活しています。
特に子供の場合、家庭でのストレスは深刻です。
学校や習い事でのストレスは、ある程度仕方ないことだと思います。
多くの人間がいれば多少のストレスは誰しも感じてしまいます。
しかし、そのストレスは家に帰ることで、リラックスし、ストレスから解放できることで、バランスをとることができるのです。
両親の仲が悪かったり、勉強しなければ怒られるなど、一番リラックスできる家庭内でストレスを感じることは、精神的に不安定になってしまいます。
成長ホルモンは、脳がリラックスしている状態で、多く分泌されます。
常に精神状態が不安定な子供の場合、成長スピードが遅くなったり、成長自体が止まってしまうなどの弊害が生まれ、最悪の場合、低身長症になってしまう恐れもあります。
普段から、子供がストレスを感じ過ぎない環境づくりを、お父さん、お母さんは考えてあげることが大切ではないでしょうか。
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